(政界地獄耳) 権力ほしいままの菅首相、二階幹事長 - 日刊スポーツ(2020年10月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010060000056.html

★東で首相・菅義偉日本学術会議に向けて強権人事を仕掛ければ、西では4日、自民党幹事長・二階俊博が、二階派会長代行で元官房長官河村建夫の山口3区で出馬の構えを見せる参院の元文科相林芳正をけん制するかのように、山口県宇部市での河村の総決起大会に派閥議員20人とともに乗り込み、会場には県議や市議、後援会関係者ら約400人も集結した。

★二階はあいさつで「売られたけんかという言葉がある。無駄なエネルギーをお互い費やすよりも、日本の発展のために力を結集してもらいたい」「党の公認は1人だ。無理やり挑んでくるなら我々も覚悟はある。政治行動のすべてをなげうって受けて立つ。全力を挙げて河村を支える」とすさまじい。二階最側近の幹事長代理・林幹雄に至っては会合で「(林の鞍替えは)自民党に弓を引くことになる。除名という罰則もあり得る」と、既にどう喝だ。

★しかし、二階は派閥の規模を増やすため無所属議員や旧民主系議員を派内に引っ張りこみ、いくつもの選挙区で党内競合区をつくり県連や自民党支部長らにけんかを売ってきた。北海道7区、群馬1区、新潟2区、静岡5区、高知2区も同様だ。もっとも、普通は二階派が強引に選挙区におりてくるわけだが、今回は林に仕掛けられた鞍替え騒動。「二階は河村を衆院議長にして、息子につなぎたい。林は宏池会の中でのポスト岸田という存在。早く衆院に鞍替えしたい」(自民党ベテラン議員)とそれぞれのお家事情がある。ただ、上が詰まって世代交代ができないと、日本新党のように自民党系の候補者や県議などが待ちきれず新党に走る場合もある。首相、幹事長にとっては権力をほしいままにするこの世の春かもしれないが、ほどほどに。(K)※敬称略