(政界地獄耳)1つの政策守りきれない安倍政権 - 日刊スポーツ(2020年7月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202007180000077.html

★ぶれない政策や方針を貫くことがいい政治と思い込んでいる安倍政権は、一方で民主党政権を「すぐ政策がぶれる」と批判してきた手前、ぶれることを恐れる。決まったことをやり遂げることが政策遂行だと信じているならば、戦中の軍部のそれと変わらない。「逃げるは恥だが役に立つ」の意味を理解する国民とのギャップはここにあるのではないか。税金を投入している政策は規模が大きいこともあり政策転換が難しい。また、善後策にプランAだけでなくプランB、Cを用意しにくい。予算措置が伴うために柔軟性ある運用がしにくい。

★だからこそ、全国一律や中央集権型の政策にしないように自治体に裁量権を与えるなどの柔軟性を持たせて事態の変化に対応するか、使い勝手が良いプランを選べるようにしておくべきだ。それがなかなかできないのはコロナ禍での給付金、マスク配布などで中間搾取業者が介在する仕組みにこだわりすぎたからではないのか。16日の参院予算委員会で東大名誉教授・児玉龍彦は「国の総力を挙げて(感染を)止めないと、ミラノ、ニューヨークの二の舞いになる。来月には目を覆うようなことになる」と訴えた。今月2日、米国の1日の感染者数は5万人を超えた。今の日本では想像できない数字だが、専門家は強い警鐘を鳴らしている。

★政権は不退転の決意を貫いているように見せるが、4月にも収入が減少した世帯への限定30万円給付は取り下げ、1度閣議決定した補正予算を変えて全国民への一律10万円給付に変えた。検察庁法改正案も目前で見送りを決めるなどぶれるというより1つの政策を守り切れない。こんな政権は見たことがない。(K)※敬称略