【政界地獄耳】5000円バラマキ 茂木プラン破綻 - 日刊スポーツ(2022年3月25日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203250000117.html

自民党幹事長・茂木敏充のイライラが止まらない。参院選対策の目玉のつもりだった年金受給者への5000円支給計画。「年金生活者臨時給付金」という名がつくらしいが4月に引き下げられる年金の減額分の補填(ほてん)の金額から茂木がはじき出した金額のようだが、これの評判が悪い。総額は事務費を含め1500億円規模なので選挙前のばらまきと感じるが、今時小学生のお年玉でも5000円ではという空気になる。額の貧弱さだけでなく単純に減額補填にするという機械的な政策が血の通わないプランに映るのだ。

★そもそもなぜ給付が下がるのかといえば6年前、安倍内閣が年金の支給額を下げても年金を維持するために、つまり現役世代と若者のためという名目で年金制度改革法を強行採決した。当時の民進党は年金カット法と酷評したが折しもコロナ禍で社会経済の停滞が今年の年金額を下げる結果になった。6月22日に公示、7月10日投開票の参院選目前の6月15日に4、5月分の年金は支給されるが、茂木は「本当は減るけど何とか調整して、いつも通りの年金額を維持しましたよ」と訴えたかったのだ。

★この政策は15日、茂木と公明党幹事長・石井啓一が首相・岸田文雄に提案したことになっているが、23日の会見で公明党政調会長・竹内譲は「石井啓一幹事長に自民党茂木敏充幹事長から話があった。公明党としてそもそも考えていたわけでもない」と茂木単独プランであったことを暴露して突き放した。首相は22日の参院予算委員会で「物価高騰の状況などさまざまな観点にかんがみて対策を考えていかなければならない。その中で扱いを検討したい」と発言、茂木の5000円ばらまき計画は破綻した。今後は別の名目で規模を拡大して金額も大きくなるだろう。(K)※敬称略