(政界地獄耳) 取材する側もされる側も小さくなった - 日刊スポーツ(2020年2月8日)

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★政界は相変わらず本筋とは違うところで大騒ぎだ。立憲民主党国対委員長安住淳は新聞大手各社の予算委員会の扱いについて「すばらしい!」「くず0点」「ギリギリセーフ」「論外」といった論評を書き添え、国会内の同党などの衆院会派控室のドアに張り出した。これに与野党もメディアも批判のオンパレードだ。だが与野党の議員に聞いてみればどの議員も新聞の“勝手な論調”には怒りや反発を持っており「内心、よくぞ言った」と感想を述べる議員もいる。

★決して安住の手法が正しいとか立派だとかは思わないが、批判するばかりのメディアが批判されるとむきになるのも「大人げない」との声もあった。自民党にはあることないこと書かれても一切抗議も名誉毀損(きそん)で訴えることもしない議員もいるし、些細(ささい)なことでも猛反発して大騒ぎする議員もいる。もう少し寛容に見られないものか。まさに「憲法観」や「安保観」と同じで誰もが心の中に持つ思いが形に現れた安住の行動を褒めるものではないが、取材する側もされる側も小さくなったと感じた。

★一方、野党の質問に激高し「うそつき」を連発し、「人としてどうか」と議論を自分の怒りにすり替える首相・安倍晋三は野党をやり込めたと思っているのだろうか。「募ってはいたが、募集はしていない」など国民の失笑を買うレベルは国家の最高責任者で森羅万象を担当する首相としてどうなのか。自民党ベテラン議員幾人かに聞くと「部会で正論や政権を批判的に言うと幾人かが同調するものだが、今は3回生以下の安倍親衛隊のような議員たちが猛反発する。その後は拍手やなんやらで安倍さんのやることなすことには一切批判しない空気がどんどん部会に広がる」と嘆いた。ベテランも情けないが、この空気は既に国民が知る自民党の姿ではない。魔の3回生は本当に魔の3回生なのかもしれない。(K)※敬称略