(政界地獄耳) 閣議決定で正面突破手法乱用 - 日刊スポーツ(2020年2月3日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202002030000057.html
http://archive.today/2020.02.03-005311/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202002030000057.html

★「『責任は私にある』と発言すると自動的に責任を取ったことになる」もそろそろ閣議決定したらいいのではないか。自らの失敗を覆い隠すために閣議決定を多用してきたのが安倍内閣だが、先月31日の2つの閣議決定が波紋を広げている。ひとつは副総理兼財務相麻生太郎が「2000年の長きにわたって、1つの民族、1つの王朝が続いている国はここしかない」との、間違った歴史認識と単なる思い込みを擁護するための「他の国々と比べて民族、言語、文化が長い間比較的まとまった形で継続してきたという日本の特徴を、麻生大臣なりの言葉で表現したもの」とする答弁書閣議決定した。

★なるほど、だから「幅広く募っているという認識で『募集』という認識ではなかった」と答弁しても首相・安倍晋三なりの言葉で表現したのだ。そこで思い出すのが18年、5月の衆院財務金融委員会。麻生は森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざんに関して「改ざんといった悪質なものではないのではないか」と発言し『改ざん』ではなく『書き換え』との認識を示した。これと全く同じ発想と手口であることが分かった。言葉のすり替え・書き換え、改ざん、そして「なかった」論法は最近閣議決定で正面突破する手法に変化した。

★さて続いては定年退官を7日に控える東京高検検事長・黒川弘務の勤務を半年延長し、8月7日までとする国家公務員法の特例規定に基づく異例の措置が閣議決定された。IR汚職事件捜査中の検事総長・稲田伸夫の後任に官邸に近いとされる黒川を強引に据えたい措置と政界では言われている。それならば「三権分立は絵に描いた餅で政界では実現しない」と閣議決定すべきだろう。(K)※敬称略