https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202005210000649.html
異例の定年延長が批判されていた東京高検の黒川弘務検事長(63)が21日、緊急事態宣言下の今月、都内で新聞記者らと賭けマージャンをしていたことを認め、安倍晋三首相に辞表を提出した。日本の検察当局ナンバー2の不祥事にもかかわらず、森雅子法相は処分を「訓告」と発表。首相は「総理として責任はある」と口にはしたが、大甘処分で早期の幕引きを図ろうとする意図はみえみえだ。安倍政権はさらに国民の信頼を失ったといえる。閣議決定以降の「連続失点」は、どこまで続くのか。
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すべては、あの閣議決定が始まりだった-
黒川氏の定年延長という前例のない閣議決定をした1月31日以降、「負の連鎖」が続き、安倍首相の足元を揺るがしている。
定年延長をめぐっては過去の「検察官には国家公務員法の定年制は適用されない」との政府答弁が、山尾志桜里衆院議員の指摘で明るみに出た。政権は「法解釈の変更」で乗り切ろうとしたが、法解釈をいつ変更したのか示す文書はなく、森雅子法相から「口頭決裁した」との珍答弁が飛び出した。「桜を見る会」では2月17日、「見積書、明細書を発行しないケースはなく、宛名が空欄の領収書は発行しない」というホテルの回答文書を辻元清美氏に突きつけられ、「回答は一般論」と辛うじてかわす場面も。辻元氏の質問中、首相がやじを飛ばし、陳謝する事態にも追い込まれた。
新型コロナでは対応が遅れ、2月27日、突然、小中高に一斉休校を要請。混乱が広がった。29日の会見は質問が続いているにもかかわらず、36分で打ち切って帰宅し、批判された。4月1日にはアベノマスクの配布を発表。「エープリルフールかと思った」と失笑されたにもかかわらず、4月12日、星野源「うちで踊ろう」とのコラボをインスタグラムに投稿。優雅にくつろぐ姿に批判が相次いだ。
緊急経済政策も迷走した。閣議決定した30万円配布は公明党の突き上げで4月16日、1週間で一律10万円に変更。一方で昭恵夫人の空気を読まない行動は緊急事態下でも続き、3月に都内のレストランでの花見をし、大分・宇佐神宮に50人で旅行していたことが判明。4月28日には「私の妻を含め8割接触を減らすことで全力を尽くさなければならない」と、国会で答弁せざるを得なかった。黒川氏の問題が幕引きとなり、失点は止まるのか。すべては首相の説明責任にかかっている。【中嶋文明】
検事長の任命権者は法務大臣ではない。内閣だ。だから黒川検事長は内閣総理大臣に辞表を出した。定年延長も辞職の承認も内閣の権限。アベ首相は責任を免れない。
— 前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民) (@brahmslover) May 21, 2020