(政界地獄耳) 佐藤栄作と安倍晋三の違い - 日刊スポーツ(2019年12月12日)

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安倍内閣は異次元の閣議決定を繰り返している。これは歴史の検証に耐えうるレベルのものではないだけでなく、内閣を挙げてすべての閣僚が同意したとんでもない愚行だ。閣議決定とは憲法や法律で内閣の職務権限とされる事項や国政に関する重要事項で、内閣の意思決定が必要なものについて、全閣僚が合意して政府の方針を決定する手続き。

★森友・加計学園疑惑が問われていた17年3月14日、政府は野党の質問主意書に首相夫人・安倍昭恵は「公人ではなく私人であると認識している」と閣議決定。今年11月29日には「桜を見る会」に昭恵が推薦した参加者が含まれていることに関し「首相夫人は公人でなく私人との認識は変わりない」との答弁書を再度閣議決定した。また、10日には「桜を見る会」への反社会的勢力の参加問題を巡り、「『反社会的勢力』について定義するのは困難」とする答弁書閣議決定した。ところが07年6月、全閣僚で構成されている犯罪対策閣僚会議の幹事会申し合わせで「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を決定。定義は既に確定している。

★首相・安倍晋三が、その任期を超えたがっている首相・佐藤栄作は1967年12月11日の衆議院予算委員会において社会党委員長・成田知巳が、米国から返還の決まった小笠原諸島核兵器を再び持ち込むことへの可能性についてただした際、佐藤が「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないというこの核に対する三原則、その平和憲法のもと、この核に対する三原則のもと、そのもとにおいて日本の安全はどうしたらいいのか、これが私に課せられた責任」と答弁。閣議決定などしなくとも国会で普通に議論して答弁すれば、結果この発言で佐藤はノーベル平和賞を受賞することになる。安倍が求めるレガシーは作るものではなく、国会での答弁で生まれるものだ。超法規的に行う閣議決定などに縛られずおかしいことは野党もメディアも国民も言うべきだろう。(K)※敬称略