(政界地獄耳)「火薬庫」香港 それでも鈍すぎる日本 - 日刊スポーツ(2019年11月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911230000120.html
http://archive.today/2019.11.23-020600/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911230000120.html

★米上下両院は中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を可決したが、米国が香港に認める関税やビザ(査証)発給などの優遇措置の是非を判断するもの。香港に進出する外国企業は日本法人が一番多く、日本への影響も大きいが、米中貿易協議自体の行方はこの法案に米トランプ大統領がサインするか否かにかかる。また下院は香港警察に催涙ガス催涙スプレー、ゴム弾、スタンガンなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案も賛成した。

★21日、立憲民主党は党代表・枝野幸男名で「香港市民の基本的人権と法の支配を求める行動が、行きすぎた公権力の行使により弾圧されている。香港警察は武器をもたない丸腰の市民に至近距離から実弾を発砲するにいたっている。警官隊が大学構内に突入してデモ活動を鎮圧したり、大学構内にいるデモ参加者を包囲した上で出てきた学生を身柄拘束するなどの事態が起きている。香港市民が享受すべき表現の自由・人身の自由・大学の自治が深刻な脅威にさらされている」と憂慮の声明を出したが、日本政府は何ら発言をしない。来年の中国国家主席習近平来日が予定されており明確な態度を示せない。

★反政府抗議活動の拠点・香港理工大は警官隊が取り囲むが18日、ほんの一瞬、事実上休戦が整い大学関係者や政府関係者が校内に入った。理由は元首相・朱鎔基の孫が籠城していたための救出があったと伝えられた。同大にはほかにも元党幹部の孫やひ孫がいるのではないかと現地メディアは伝えている。自民党外交筋が言う。「トランプが法案にサインすれば米中貿易交渉は決別する。トウモロコシや思いやり予算の負担は日本に回ってくるだろう。そして香港に注力するため習近平来日が消える」。つまり政権にとって香港問題は来年の日本の政治経済の火薬庫ということになるが政府の反応が鈍すぎるのではないか。(K)※敬称略