<金口木舌>ノーベル受賞者の光る言葉 - 琉球新報(2019年10月12日)

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ノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローで名城大教授の吉野彰さんの発言は機知に富んでいる。受賞決定の連絡を受けた時のことを「どっきりカメラかと思った」と語り、笑いを誘った

旭化成工業に入社後、リチウムイオン電池開発を始めるが、適した材料を探すのは容易ではなかった。「壁にぶち当たるのはしょっちゅう。どうせ乗り越えなきゃいけない壁なら、早く出てきてくれてありがたい、そうポジティブに考えた」
▼発想の源はリラックスできる空き時間だ。「忙しい時にぽっと半日ほどすることがない時、アイデアがぽろっと出てくる」。科学に興味を持ったのは小学4年のころ。担任から勧められた英国の科学者の著書を読みふけった
▼吉野さんの経歴から「新報サイエンスクラブ」に所属する小中学生が思い浮かんだ。専門家の助言を受けながら、自然界や暮らしの中の「なぜ、なに」を追究している
琉球大付属小6年の赤嶺周哉さんは2年生のころからチョウの「カバマダラ」の研究を続けている。色画用紙で囲むとサナギの色に影響が出ることを発見し、現在は色画用紙の違いによるサナギの色への影響を調べている
▼吉野さんの受賞に刺激を受ける子どもたちは多いだろう。吉野さんは97歳の共同受賞者にならい「命ある限り研究を続ける」と決意する。その言葉は中高年にとっても励みになる。