(斜面)「なぜ」を問う子どもの好奇心 - 信濃毎日新聞(2019年10月11日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20191011/KT191010ETI090009000.php
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NHKラジオ「子ども科学電話相談」に小学2年の男子がこんな質問を寄せた。「どうしてパンツをはかなくてはいけないの?」。家では面倒くさいから脱いでいるという。「なぜ」を問う子どもの好奇心は大人の想像を難なく超える

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自分の可能性を伸ばし人生を豊かにするのに好奇心は大きな役割を担う。イアン・レズリー著「子どもは40000回質問する」によれば、それは周りの大人との関わりによって育つ。関心の対象になる新しい情報にどんな文脈で出合うかも重要という

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ノーベル化学賞に決まった吉野彰さんは、小学4年のころ担任教諭に薦められ、英国の科学者マイケル・ファラデーの著書「ロウソクの科学」を読んだ。ろうそくはなぜ燃えるのか。芯は何のためにあるのか。次々浮かぶ問いが灯をともし科学への道をほのかに照らしたのだろう

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中世まで好奇心には「強欲の異名」といった非難が向けられていた。なぜ、という問いは旧来の秩序を崩しかねないと支配層が警戒していたからだ。やがて好奇心こそが社会を発展させる原動力との認識が広がり、近代に入ると科学の進歩につながった

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ネット時代は好奇心の危機を招いている。検索は全ての疑問に明快な答えがあるかの錯覚を膨らませ好奇心を締め出している、とレズリーさんは指摘する。冒頭の質問に正解はあるのか。回答者の先生も一緒に考えて懸命に答えを探った。そんなやりとりが子どもを成長させるに違いない。

 

 

子どもは40000回質問する  あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

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ロウソクの科学 (岩波文庫)

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