<金口木舌>沖縄忌に考える平和とは - 琉球新報(2019年6月22日)

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17文字に思いを込める俳句の世界。研ぎ澄まされた言葉の向こうに広がる世界を想像する。「いつ降ろす/昭和の重荷/沖縄忌」。第17回沖縄忌俳句大会大賞を受賞した金城幸子さんが詠んだ一句

▼5歳で沖縄戦を体験し、米軍の攻撃をかいくぐり一家で本島北部へと逃げた。飢えに苦しみ小麦粉をなめ命をつないだ
▼「昭和の戦争で沖縄の人々の多くが犠牲になり、戦後は米軍基地の重荷を背負わされ続けている」。令和になっても変わらぬ現状。金城さんはやるせなさを刻み込む
▼例年6月、本紙文化面の「琉球俳壇」に沖縄戦にちなんだ句が寄せられる。「夏蝶や/戦禍のがまに/千の魂」。宮国ハル子さんの一句。鎮魂への心情がつづられている。淡々とした表現が胸を打つ。文学の力を実感する
沖縄戦の記憶は若い世代にも受け継がれている。「青く澄みわたる空/この空は/どんなことを思ったのだろうか/緑が消え町が消え希望の光を失った島/体が震え心も震えた/いくつもの尊い命が奪われたことを知り/そんな沖縄に涙したのだろうか」
▼「第29回児童・生徒の平和メッセージ」詩部門で最優秀賞を受賞した兼城小6年の山内玲奈さんの詩の一節だ。沖縄を襲った惨状を空の視点から描く。その空は今も沖縄の人たちのものとは言えない。平和な沖縄をつくるために何ができるのか。沖縄忌に改めて考える。