<南風>ひめゆりの証言員たち(2) - 琉球新報(2019年9月2日)

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開館後、ひめゆりの証言員たちは、戦争体験を伝える活動だけでなく、資料の収集や整理保存、企画展やイベントの準備運営、本の執筆編集などさまざまな仕事に携わり、資料館の運営の中心となって担ってきました。私は学芸員として、それらの仕事を一緒になって取り組みました。
例えば、企画展としては「沖縄戦の全学徒たち」や「ひめゆりの戦後」「ひめゆり学徒隊の引率教師たち」「戦争体験を未来につなぐ」などを開催、イベントとしては「戦跡めぐり―ひめゆり学徒隊の足跡」や朗読会「平和への祈り~ひめゆりの伝言」などを開催しました。また、資料館の展示や証言をまとめた『ガイドブック』や各企画展の図録、来館者の感想文を1冊にまとめた『感想文集 ひめゆり』、『絵本 ひめゆり』、DVDのアニメ「ひめゆり」などを発行しました。
証言員たちはいつもみんなで話し合いながら仕事を進めてきました。時には議論が白熱化し言い合いになることもありましたが、会議が終わるころには感情的なしこりは残さずに、いつもふだんの関係に戻りました。私はその強い信頼関係に感服していました。
資料館には外部からさまざまなものが持ち込まれてきます。なかには館の理念に添わないものもあり、そのような話に対して、彼女たちはいつも毅然と立ち向かっていました。その強い絆や信頼感はどこからくるのだろうと考えることがあります。恐らくその強い絆は、同窓生であるとか同じ学徒隊の生き残りであるというだけなく、苦難の中で資料館を一緒に建設し、戦争体験を多くの人たちへ伝えるという活動を共にしてきたという経験が培ったものではないか―そばで見ていた私はそう思うのです。同じ志を持ち手を携える仲間がいることの大切さをつくづく思います。
普天間朝佳、ひめゆり平和祈念資料館館長)