(余録) 難関とされる某私大の世界史の入学試験で… - 毎日新聞(2019年8月26日)

https://mainichi.jp/articles/20190826/ddm/001/070/120000c
http://archive.today/2019.08.26-011707/https://mainichi.jp/articles/20190826/ddm/001/070/120000c

難関とされる某私大の世界史の入学試験で、仏教修行の基本となる「八正道」に関し、含まれないものを選ばせる問題が数年前に出された。選択肢は「正見、正精進、正則、正命」の四つ。
恥ずかしながら答えられなかった。正解は「正則」だそうだ。この出題例を紹介している「絶対に解けない受験世界史」では、「世界史としては普通覚えない、奇問というほかない」と指弾している。
別の私大では、エジプトの神聖文字が解読された年を選ばせるものも出題されたという。マイナーな年号を覚えることと学力が果たしてどう関係するのか。いくら点数に差をつけるためとはいっても、入試の悪問、奇問は受験生にとって迷惑でしかない。
しかし、迷惑どころか不安の声が学校現場で高まっているのが、来年度から大学入試センター試験に代わってスタートする「大学入学共通テスト」である。なかでも不満が噴出しているのが英語の民間試験活用だ。
民間試験の開始は来年4月に迫っている。受験生はこの秋以降、受ける試験を決めて申し込む必要がある。でも、日程や試験場など詳細は不明な部分が多い。参加を取りやめる検定団体も出た。全国高等学校長協会は文部科学省に早急な対応を求めたが、夏休みももう終わりだ。焦っている高校生も多いことだろう。
文科省に一つ問題をお出ししよう。以下の言葉のうち、教育行政と関係しないものはどれか。「現場軽視、計画行政、独善主義」。今後の対応次第で、正答は変わるのでご注意を。