参院選 女性候補 際立つ与党の努力不足 - 朝日新聞(2019年7月15日)

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男女の候補者の数を、できる限り均等とすることをめざす。国会で昨年春、全会一致で成立した候補者男女均等法は、そう定めている。「均等」とは、平等で差がないという意味だ。
だが、それは掛け声倒れということか。成立後、初の国政選挙となる参院選で、候補者の男女比率は均等からほど遠い。
候補者全体のうち女性が占める割合は、28%にとどまった。参院選としては過去最高というが、それでも低すぎる。じつに嘆かわしい現状である。
現職議員がいる主要政党で女性候補者が4割を超えたのは、社民、共産、立憲民主だけだ。自民は15%、公明は8%と、与党の低さが際立っている。罰則のない理念法だから大丈夫とでも思っているのだろうか。
自民は現職議員が多く、新人をたてにくいため、女性を擁立しにくいとの弁明も聞く。だが、新人に限ってみても、選挙区・比例区を合わせた自民の21人のうち女性は4人のみだ。
安倍首相は党首討論会で「努力不足だと言われても仕方がない」と述べた。「次の選挙で比率を20%以上にしていくべく努力したい」というが、優先的に取り組む意思がなかったのは明らかだ。
国際的な議員交流団体である「列国議会同盟」によると、今年6月現在の下院(衆院)での女性の比率で、日本は191カ国中163位。20年前は91位、10年前は104位と、ほぼ年を追うごとに後退している。
この団体が今年3月に発表した報告書によると、女性比率の世界平均はこの20年間でほぼ倍増した。四半世紀前は10%に満たなかった上院(参院)でも、女性は増えている。男女の比率を半々に近づける努力は世界的な流れになっている。
最も効果的なのは議席の一定数を男女に割り当てるクオータ制で、導入国は130カ国以上に及ぶ。昨年あった上院選のうち16カ国をみると、一定のクオータ制度がある国の女性議員比は36%、ない国は16%だった。
割り当ての仕組みや制裁を設けず、単に法律をつくるだけでは突破口にならない、との指摘は多い。日本で均等法の効果が出ないなら、クオータ制の導入も検討すべきではないか。
世界で女性議員が増えているのは、意思決定の場に女性の視点を社会が求めているからだ。女性の擁立に消極的な政党は、選挙で勝ちにくい時代になっている。女性候補を1~2割しか立てない政党が政権を握り続けられる国は特異な存在だ。
女性の声を生かす政治に本気で取り組む政党はどこか。真の均等をめざす候補はだれか。投票で意思を示す時だ。