https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190531/KP190530ETI090008000.php
http://archive.today/2019.05.31-022040/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190531/KP190530ETI090008000.php
衆参両院で予算委員会が長期にわたって開催されていない。
衆院では、3月1日から約3カ月、参院でも3月27日から約2カ月間にわたっている。
野党はこれまで、閣僚などの更迭や経済情勢の悪化などに対し、政府をただすため、何度も委員長に開催を要求してきた。
それなのに与党は開催を拒否してきた。4月には統一地方選があった。夏には参院選を控えている。重要な選挙を前に政権のイメージを悪化させる場を設けたくないという思惑が透ける。
衆参両院の規則は、各委員長が「委員の3分の1以上」から要求された場合、「委員会を開かなければならない」と定めている。委員長は開催しても与党委員が出席せず、流会になるとしている。
開催拒否は国民に対する説明責任の放棄だ。争点を覆い隠して国会をやり過ごし、選挙に臨むことは看過できない。与党は早急に両院で予算委を開催し、安倍晋三首相が答弁に立つべきである。
国政全般に関係する予算委はこれまで、政策全般をチェックする場として、与野党が攻防を繰り広げてきた。予算案の成立以降も開催されるのが通例で、昨年は委員会可決から5月末までに、集中審議を計7回実施した。
予算委が開かれない間、議論する必要がある問題が山積されてきた。「忖度(そんたく)」発言の塚田一郎前国交副大臣や、失言が重なった桜田義孝前五輪相が更迭された。首相の任命責任に対する見解も予算委で説明されていない。
経済情勢が悪化し、政府は景気判断を引き下げた。経済政策だけでなく、雇用への影響や財政面など幅広い課題があり、予算委でしか議論できない。消費税増税を控え、経済への影響や対策が十分かも検証する必要がある。
北朝鮮に対しても、政府は条件を付けずに金正恩朝鮮労働党委員長との会談に臨む方針を固めている。拉致問題の進展を前提としてきた従来の姿勢を転じている。首相が説明するべきだ。
来日したトランプ米大統領との首脳会談では、日米貿易交渉を巡り早期妥結へ協議を加速させる方針で一致している。ただし、協議内容を巡っては、日米間で隔たりも表面化している。その理由についても説明責任がある。
会期末まで1カ月を切った。多様な論点を議論し、問題点を浮き彫りにする時間は限られている。早急な開催は国会の義務だ。党利党略である与党の審議拒否は、国民軽視である。