[大弦小弦]今年は1879年に沖縄が日本に併合された「琉球処分」から・・・ - 沖縄タイムス(2019年4月7日)

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今年は1879年に沖縄が日本に併合された「琉球処分」から140年の節目に当たる。「琉球処分」以降、沖縄の人々は苦難の道を歩んだ。苛烈な沖縄戦やその後の米軍統治、軍事基地を抱えたままの日本復帰など時代の波に翻弄(ほんろう)され、常に生きる「道しるべ」を模索してきた

▼県民が到達したその一つが、沖縄戦を経た「命どぅ宝」であり、政府と対峙(たいじ)した故翁長雄志前知事の「イデオロギーよりアイデンティティー」との言葉ではないか。政治的な立場を超え、県民が一つとなり、立ち向かう重要性を示した

辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票で、7割を超す人が反対の意を示した。翁長前知事の後を継いだ玉城デニー知事の知事選での過去最多得票を超え、政治的枠組みを超えたといえる

▼が、政府は建設を推進する構えを崩さない。国土交通相は県による埋め立て承認撤回を取り消す裁決を下した

琉球大学名誉教授の西里喜行さんは、本紙文化面への寄稿で、現在の辺野古について「今を生きる私たちが(中略)歴史への責任を引き受けて自己決定権を希求し続けることができるかどうか、にかかっている」と指摘した

▼沖縄は自ら民意で「道しるべ」を打ち立て、新たな時代の方向性を指し示した。その意味と重みを、140年の節目に、史実と合わせて考えたい。(内間健)