[高良鉄美氏が初当選]新基地反対の民意再び - 沖縄タイムス(2019年7月22日)

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事実上の一騎打ちとなった参院選沖縄選挙区は、無所属で「オール沖縄」勢力が推す琉球大学名誉教授の高良鉄美氏(65)が、自民公認でシンバホールディングス前会長の安里繁信氏(49)=公明・維新推薦=に6万票余りの差をつけ、初当選を果たした。
安里氏は昨年9月の知事選にも名乗りを上げていたこともあって、運動ははるかに先行した。
これに対し高良氏は、現職の糸数慶子氏との交代劇を巡って市民らから選考のやり直しを求める声が出るなど混乱した。出馬会見は当初の予定から約1カ月延期されるなど選挙態勢の構築が遅れた。
にもかかわらず、公示後は各報道機関の情勢調査で序盤、中盤、終盤とも高良氏が安里氏を常にリードした。
なぜだろうか。
高良氏は辺野古新基地建設反対を前面に押し出し、沖縄の民意に反して工事を強行する安倍政権を批判した。
安里氏は県民投票で「民意が示された」とする一方で「土砂を元に戻せるのか」などと賛否を示さなかった。争点ぼかしである。
公認を受けた自民党の県連が新基地建設容認に転換したのに、立場を明確にしない安里氏に保守層からも離反する声が出たという。
2月の県民投票では埋め立てに「反対」が投票者数の7割を超えた。
高良氏の当選は、新基地反対の沖縄の民意が強固で揺るがず、決して諦めない県民の決意を示すものだ。

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今回の参院選は第2次政権発足から6年半におよぶ「安倍政治」を総括する選挙である。2014年11月に翁長雄志前知事が新基地反対を掲げ、初当選した以降とほぼ重なる。
全国では自民、公明両党が早々と改選過半数議席を獲得し、安倍晋三首相は引き続き「1強体制」の政権基盤を手に入れた。ところが沖縄では全く逆である。
沖縄ではこの間、知事選2回、衆院選2回、衆院3区補選、参院選2回が実施されている。自民党が獲得した選挙区の議席はわずか衆院4区だけである。
新基地に反対する「オール沖縄」勢力が12勝1敗と圧勝。安倍政権が民意を無視して強行する新基地建設に「ノー」の意思を繰り返し繰り返し示しているのである。
民主主義の根幹である選挙結果の意味は重い。

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安倍首相は「沖縄に寄り添う」と言い、新基地は「負担軽減につながる」と、独りよがりの説明をするが、新基地ができてしまえば半永久的に残る。強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアが整備される。米軍普天間飛行場にはない機能である。
生物多様性に富み世界に誇る辺野古・大浦湾を破壊する上に、どこが負担軽減になるというのか。新基地は負担増にしかならないのである。
安倍首相は今選挙だけでなく、一連の結果を真(しん)摯(し)に受け止めなければならない。沖縄の民意を酌み、新基地建設の見直しをすべきである。