[国には国の民主主義]そこまで言うんですか - 沖縄タイムス(2019年2月28日)

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県民投票で示された民意を政府はどう考えているのだろうか。
菅義偉官房長官は、名護市長選で政府・与党が推す候補が当選したとき、「選挙は結果がすべて」だと言った。
けれども、知事選で辺野古反対の翁長雄志氏や玉城デニー氏が大差で当選したときは「結果がすべて」だとは一言も言わなかった。
選挙にはいろいろな要素がある、と口を濁し、政府方針に影響がないことを強調するだけであった。これを二重基準と呼ぶべきか、ご都合主義と言うべきか。
ならば、県民投票で辺野古埋め立てに対する反対票が投票総数の7割超に達した事実はどう評価するのか。
岩屋毅防衛相は26日の記者会見で、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある」と、あ然とするような民主主義観を披露した。
「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」とは初めて聞く話である。戦後27年間、憲法が適用されなかった沖縄に、本土同様の民主主義がなかったのは確かだ。
だが、今回の県民投票は、地方自治法に基づいて住民が必要な署名を集め、条例制定を県に直接請求し、県議会で成立した投票条例に基づいて行われたもの。住民投票は制度化された直接民主制の一形態である。
投票結果が気に食わないからといって「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」と言うのは論理が飛躍しており、あまりにも乱暴だ。

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岩屋防衛相は昨年12月、辺野古移設について、視察先の北海道で「日米同盟のためではない。日本国民のためだ」と記者団に大上段に語った。
果たすべき説明責任を果たさず、「この紋所が見えないか」とすごんでいるような言い方である。
「日本国民のため」であれば、なおさらのこと、米軍専用施設の約7割が集中する沖縄に建設すべきではない。
政府は一地域に偏らない公正・公平な負担の実現をめざすべきである。
岩屋防衛相は25日、県民投票結果を「一つの沖縄の民意」だと認めつつ、「普天間基地を返還してもらいたいということも、沖縄の皆さんの強い民意だ」と強調した。
県議会は昨年2月、オスプレイなどの相次ぐ事故に抗議し、「普天間飛行場の即時運用停止」を全会一致で決議した。普天間返還が沖縄の民意であることは、言われるまでもない。

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普天間飛行場返還に向けた当初の日米合意は、既存の基地内にヘリポートをつくる、というものだった。
当時、橋本龍太郎首相は、沖縄の頭越しには進めない、とも強調していた。辺野古移設が固まった段階でも橋本氏は、撤去可能な海上基地にこだわった。それが後退に後退を重ね、当初案とは似ても似つかない新基地建設計画に変わったのである。
軟弱地盤の改良工事によって工期は大幅に延び、経費も膨大な額に膨らむ。
辺野古固執すればするほど普天間返還は遅れる