(政界地獄耳) みんながみんな「俺たち偉いんだ病」 - 日刊スポーツ(2019年3月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201903130000120.html
http://archive.today/2019.03.13-005743/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201903130000120.html

★昨年秋の自民党総裁選後、党内では反主流派のような扱いで政治生命は参院選挙までと党内で烙印(らくいん)を押されていた元幹事長・石破茂が、政権批判を立て続けに始めている。先月10日に開かれた自民党大会で首相(党総裁)・安倍晋三が「悪夢のような旧民主党政権に戻すわけにはいかない」と訴えたことについて「過去の政権を引き合いに自分たちが正しいと主張するやり方は危ない」と批判して以来、その発言力を強めている。

★また、首相が石破派を除く党内6派閥の事務総長らと先月6日夜に首相公邸で秘密裏に会食したことについても「どんな意図があったか知らないが、そうであれば堂々とやるべきだ」「(公邸の)裏口から入るとか、(首相の)日程に載せないとか、そういう姿勢はあんまりいいと思わない」と包囲網の陰湿さを批判。一方、週刊誌の政治記者座談会では首相が「『石破が党を出たいというなら出ていけばいいじゃないか』『除名してもいいんだ』と口走ったらしい」といった“反撃”が掲載される。石破包囲網を敷きながら、首相は石破の動きに不安を持つのだろうか。

★10日にはイベントで、内閣法制局長官・横畠裕介が参院予算委員会で野党議員の質問姿勢をやゆしたことに「売り言葉に買い言葉で、揚げ句の果てに内閣法制局長官が口走る。みんながみんな『俺たち偉いんだ病』にかかっていないか」と述べ、政権全体を取り巻く雰囲気を批判した。また「自衛官募集に協力しない自治体があるから改憲が必要だ」との首相の発言にも「論理が飛んでいる」と指摘した。党内には「野党的」という石破攻撃もあるようだが、政党の重鎮が政権に苦言を呈することを封じるいじめの体質こそ批判されるべき。自民党自体が「俺たち偉いんだ病」になり、思いあがっているのではないか。石破の発言は党内には厳しい苦言に聞こえるだろうが、忖度(そんたく)するメディアは“石破発言”としてこぞって報道している。これでは首相に言いつけているようだ。メディアも「俺たち偉いんだ病」だな。(K)※敬称略