【政界地獄耳】河野、石破、小泉の人気ベスト3が自民の足を引っ張った - 日刊スポーツ(2021年9月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202109280000048.html

★総裁選挙目前、もう1度確認しておこう。この総裁選挙で約1カ月、自民党は国民とメディアを巻き込んだ総裁選祭りを敢行した。前半は元幹事長・石破茂の出馬があるか否かで盛り上がったが、結局、石破は立たなかった。この段階ではまだ安倍・菅政権の総括と国民から見放されたずさんなコロナ対策への怒りと失望についての処方には期待もあった。

★安倍政権が当事者でありながら、放置と隠蔽(いんぺい)を繰り返した森友・加計学園事件、桜を見る会の不透明経理、河井夫妻巨額買収事件などの事案について、国民が丁寧な説明を求めていることについて、石破なら解明してくれるのではないかという期待があった。元総務会長・野田聖子以外の候補者たちは政治とカネの解明には極めて消極的で、既に国民は最大の関心事であるコロナ対策と党改革で失望した。石破は出馬のチャンスを逸し、ワクチン相・河野太郎の陣営に入ることで活路を見いだそうとしたが、総裁選挙後半の現在、石破の影は陣営内でも薄い。また河野陣営の応援団として動く環境相小泉進次郎の立ち回りについては前首相・安倍晋三までもが苦言を呈するほど、改革推進というより、党の分断が目的ではないかといえる暴走ぶりで、国民世論の自民党人気ベストスリー、河野、石破、小泉のタッグが自民党の足を引っ張った形だ。

★一方、前総務相高市早苗、元総務会長・野田聖子からは初めて聞く持論に新鮮さを覚えた。彼女たちの政策が党内で議論されたのか、棚ざらしになっているか不明だが、2人が生き生きと持論を述べる部分は元首相・小泉純一郎が、党内では異端と言われながら郵政民営化を首相になって実現したスタイルと重なる。総裁選挙でやっと持論が展開できたことで2人は今後の政治人生に新たな活路を見いだすだろう。党内外で2人のイメージが一新された人も多いはずだ。荒っぽい権力闘争はかごに乗る人だけでなく担ぐ人の人生も変える。29日にはどんな結末が待っているのか。(K)※敬称略