(斜面)「ブラック校則」 -信濃毎日新聞(2019年2月11日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190211/CDE013A8C8FF014R05345828.php
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髪形やスカート丈の厳密な規制。強引な持ち物検査。校則に縛られた学校生活に飽き飽きした中学1年生が大人たちに反旗を翻し廃工場に立てこもる。1988年公開の映画「ぼくらの七日間戦争」は、現在の親世代の記憶に残る作品だ

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春が近づき、中学時代を思い出しながら子どもの入学準備を進めているだろうか。指定のかばんやジャージーを買いそろえると、親はいよいよと思う。子どもたちは不安も感じ始める。部活や勉強で毎日が埋まっていく。小学校とは生活が一変する

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校内暴力が吹き荒れた80年代は校則に依存した生活指導が強まった。合言葉は「服装の乱れは心の乱れ」。対抗心を燃やして制服を改造する生徒がいた。一方いまの生活指導の焦点はスマホの扱いになっているようだ。中1から持ち始める例も少なくない。問題はより複雑化している

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意外にも校則は近年厳しくなる傾向という。「ブラック校則」の廃止を目指すNPOが調べている。あつれきが目立たないのは生徒がおとなしくなったからか。ブラックといえば部活が、教員の多忙化で学校という職場が、そう呼ばれることがある

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宗田理さんが書いた映画の原作は昨年、小学生が選ぶ「“こどもの本”総選挙」で8位に入った。中学入学を控えた6年生の支持が目立つ。30年以上、世代を超えて読まれ続ける。管理社会への不信感はいまの子どもたちの間にも漂っている。大人の都合でブラックな生活に染めてはなるまい。

 


映画予告 ぼくらの七日間戦争CM 1988年

ぼくらの七日間戦争 (角川つばさ文庫)