戦争の記憶どう継承? 来月3日、遺構など題材に茨大でシンポ:茨城 - 東京新聞(2019年1月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201901/CK2019012502000153.html
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北茨城市に残る特攻艇「震洋」の格納庫の跡。倒壊の恐れがあるとしてふさがれており、内部を見ることはできなくなっている=昨年4月撮影(茨城大提供)

県内に数多く残る戦争遺構と記憶の継承について考えるシンポジウムが二月三日、水戸市の茨城大水戸キャンパスで開かれる。終戦から七十三年以上がたち、体験に基づいて戦争の悲惨さを語ることのできる人が年々減っている中、企画した人文社会科学部の佐々木啓准教授(40)=日本近現代史=は「特に若い世代に関心を持ってほしい」と話している。 (越田普之)
佐々木准教授によると、本県は海に面して平地も多い地理的な特性から、飛行場を中心にさまざまな軍事施設が立地していた。戦争体験者が少なくなる今後、負の歴史を今に伝える遺構の重要性が増していくと考えたという。
シンポの個別報告では、米国本土を狙った「風船爆弾」や特攻艇「震洋」の拠点があった北茨城市について研究している郷土史家の丹賢一さんと、笠間市で筑波海軍航空隊司令部庁舎の保存・活用に尽力してきた金沢大介さんが、それぞれの取り組みを紹介する。
戦時下には多くの朝鮮人が県内の鉱山などに動員されていた。犠牲者の慰霊活動に携わっている張泳祚(チャンヨンジョ)さんも招かれ、こうした歴史を解説する。
また、県内には、軍人らを慰霊するため、戦後に建立された忠魂碑などが数多くある。貴重な史料だとして、佐々木准教授のゼミでは県内四百カ所の石碑を調査しており、学生が分析結果を披露する。
佐々木准教授は「遺構は軍事施設に注目が集まりがちだが、それ以外にも見落としてはいけないものがある」と指摘する。
シンポは午後零時半から午後五時まで。会場はキャンパス内の人文社会科学部講義棟十番教室。入場は無料で申し込みは不要。