道徳教科化の問題点訴え 玉村町で憲法考えるシンポ 金沢大准教授が講演:群馬 - 東京新聞(2016年9月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201609/CK2016092502000146.html
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憲法改正論議の加速が見込まれる中、群馬弁護士会は二十四日、憲法を考えるシンポジウム「憲法改正?その前に」を玉村町文化センターで開いた。金沢大の石川多加子准教授(憲法学)が「憲法と教育」と題して講演し、政府が進める道徳の教科化の問題点などを訴えた。
護憲派だという石川准教授は「衆参両院で改憲派が三分の二を超え、憲法の状況は戦後七十一年で一番危険ではないか。ここ一、二年が正念場だと思う」と危機感を表明。自民党改憲草案と現行憲法の対照表を来場者に配り、「草案には社会、経済的弱者への配慮が全くなく、個人の尊重が抜け落ちている」などと批判した。
小学校で二〇一八年から、中学校で一九年から道徳が教科になることについて「戦前に国民を戦争に向かわせたのは教育で、私より公を優先する価値観を子どもたちに植え付けたのが修身という教科だった。安倍政権は平和、人権、個人の尊重などを柱とした国の在り方をやめたがっており、道徳の教科化は修身の再来だ」と主張した。
また「内面的な問題を教科として評価することは、教職員と子どもの(憲法が保障する)思想良心の自由に土足で踏み込むことだ」と問題点を指摘した。
会場には約百五十人が来場。講演に先立ち、アイドルグループ「制服向上委員会」によるミニコンサートもあり、憲法九条や原発に関する歌を披露した。
シンポは、群馬弁護士会憲法問題特別委員会が〇七年から毎年開いている。同委員会は十一月二十三日にも、集団的自衛権自衛隊南スーダン派遣についての講演会を前橋市の県社会福祉総合センターで開く予定。 (原田晋也)