http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201605/CK2016050402000164.html
http://megalodon.jp/2016-0504-1117-29/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201605/CK2016050402000164.html
憲法記念日の3日、県内でも護憲派、改憲派がそれぞれ集会を開いた。一昨年7月に安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしてから憲法の勉強会を始めたみどり市の市民サークルは今月末、憲法草案を巡る映画の上映会を開く。
◆「民主主義が死んでしまう」 金沢大・石川准教授が前橋で講演
「改憲を阻止し、憲法を守り生かす5・3市民の集い」が前橋市大手町の県教育会館で開かれ、金沢大の石川多加子准教授(憲法学)が「憲法破壊の現状と自民党改憲草案−最凶の緊急事態条項」と題して講演した。
市民団体の県平和運動センターなどでつくる実行委員会が開き、県内各地から約二百人が来場した。
石川准教授はまず、戦前の大日本帝国憲法などに触れ「短い間に何度も戦争を引き起こし、被害を拡大させる基盤となった。そのことにもう一度立ち返らなければ、同じ間違いを繰り返すことになる」との懸念を示した。
その上で、自民党が憲法改正草案の中で提案している国防軍の保持に言及。「自衛隊ではなく、どうして国防軍なのかというと、自衛のための戦争をするだけではないからだろう。集団的自衛権だけではなく、さらに解釈が拡大する恐れがある。国防軍に、戦前の軍法会議のような審判所を置くという規定もある」と説明した。
政府が改憲の手始めとして意欲をみせている緊急事態条項については、「法律でいくらでも緊急事態が指定できることにつながる」と指摘。草案の中に武力攻撃や災害などの緊急事態が宣言された場合、「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」との部分を示し、「国会が持つ立法権を内閣に譲ることになる」と問題視した。
さらに「この条項は大日本帝国憲法の戒厳令に近く、民主主義が死んでしまう。既に災害対策基本法などがあるので必要ない」と強調した。
来場した前橋市の元教員鎌田清さん(65)は「憲法に緊急事態条項は付け加えるべきではないと思う。憲法は今ピンチにあり、九条を守るべきだ。自分の親族の中には戦死者が多く、戦争の悲劇を伝え聞いてきた。元教員として、教え子を戦場には送り出したくない」と語った。 (菅原洋)
◆「いつか改正記念日となることを願う」 県民の会が前橋で集会
憲法改正を目指す「美しい日本の憲法をつくる群馬県民の会」主催の「群馬憲法フォーラム」が、前橋市のベイシア文化ホール会議室で開かれた。東京都内で開かれた憲法フォーラムのもようを会場にインターネットで中継。主催者発表で約百二十人が出席した。
冒頭、県民の会の長尾悦治事務局長が「今日は憲法記念日だが、いつか憲法改正記念日となることを願っている」とあいさつした。
東京会場でフォーラムの主催団体の共同代表を務める桜井よしこさんが憲法改正の必要性を訴えたり、新憲法制定議員同盟会長の中曽根康弘元首相が寄せたメッセージが代読されると会場から拍手が起こった。 (竹島勇)