一票の不平等訴訟 昨年衆院選は「合憲」 最高裁が1.98倍、制度改革評価 - 東京新聞(2018年12月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122002000136.html
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「一票の不平等」が最大一・九八倍だった昨年十月の衆院選違憲だとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は十九日、「憲法の投票価値の平等に反する状態とは言えない」として「合憲」と判断した。
最高裁は格差が二・三〇倍だった二〇〇九年衆院選以降、一二年衆院選(二・四三倍)、一四年衆院選(二・一三倍)と三回連続で「違憲状態」と判断しており、合憲は〇五年以来となった。十五人の裁判官のうち十一人の多数意見。一九九四年に導入された小選挙区比例代表並立制では、昨年の衆院選で初めて格差が二倍未満に縮小していた。
判決では、国会が一六年以降に進めてきた格差是正の改革を評価。都道府県の人口比を正確に反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」の将来的な導入などを重視し、「漸進的な是正を図ったと評価できる」とした。前回の判決で示した「違憲状態」は、「法改正で解消された」と結論づけた。
原告の弁護士グループ側は十一月の上告審弁論で、「国民が平等に一票を持つべきで、二倍近くの格差を設けていいはずはない」と主張。被告の選挙管理委員会側は「憲法選挙制度の決定を国会の広範な裁量に委ねており、格差を二倍未満とする仕組みは合憲」と訴えていた。
昨年衆院選の「一票の不平等」を巡っては、二つの弁護士グループが全国十四の高裁・高裁支部に計十六件提訴し、そのうち東京や広島高裁など十五件は合憲と判断、名古屋高裁だけが「格差は極めて二倍に近く、看過しえない」として違憲状態と判断した。