(政界地獄耳) 棒読みでも発信したほうがいいのか - 日刊スポーツ(2021年1月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202101150000091.html

★首相・菅義偉の対応が甘いと最近、自民党外交部会の声が大きい。12日、同部会は新型コロナウイルスの水際対策に関する会合を開き、一部の国とのビジネス往来が継続していることを問題視。部会長・佐藤正久は「新型コロナ変異種の予防措置で入国をとめているのに、ビジネス往来は例外になっている。政府の説明は二重基準で国民の理解を得ることは難しい」と厳しい。

★政府が入国を認めているのはベトナム、タイ、カンボジア、マレーシア、ミャンマーラオス、台湾、シンガポールブルネイ、韓国、中国(香港・マカオを除く)の11カ国・地域。確かに比較的コロナ制圧に成功している国ばかりだが、政府は昨年12月28日に条件付きで認めていた外国人の新規入国を一時停止していたものの、一転認めたことから部会が騒ぎ出した。部会の中には「春節の中国からのインバウンドを念頭に特別扱いしているのではないか」「党幹事長・二階俊博が関与しているのではないか」とGo To トラベル同様、政治的背景があるのではないかとの声も上がる。結局政府は14日から全面停止に戻した。

★13日、同部会は米トランプ大統領の支持者による連邦議会議事堂襲撃に対し明確なメッセージを出さなかったと批判を強めた。欧州では英国・ジョンソン首相が「トランプが襲撃をあおり、自由で公平な選挙結果に疑問を投げかけ続けるのは完全に間違いだ」と批判。ドイツ・メルケル首相は声明で「怒りと悲しみを感じた」とし、その一方、大統領のアカウントを永久停止したツイッター社に対して言論の自由という観点から「問題だ」と指摘している。フランス・マクロン大統領もビデオ声明で「1人1票という普遍の理念への攻撃だ」と非難した。部会では「同盟国としての立場を示す必要がある」との声が出た。首相は8日、記者の質問に「バイデン次期大統領の下で米国民が一致結束して歩んでもらいたい」と述べ、10日のテレビでは「民主国家の代表みたいに世界で思っているので、極めて残念だった」と述べるにとどまっている。まあ棒読みでも発信したほうがいいのか、心のこもらぬ発信ならやらないほうがいいのか。(K)※敬称略