(政界地獄耳)若者が払う移民問題のツケ - 日刊スポーツ(2018年8月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808300000155.html
http://archive.today/2018.08.30-011721/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808300000155.html

★政府は単純労働での就労を認めるなど、新たな在留資格の創設を盛り込んだ外国人労働者の受け入れをするため、法務省の入国管理局を格上げし、来年4月に外局の「入国在留管理庁」(仮称)を設置する。新聞が28日に一斉に伝えたが、そこに移民という言葉は一言も出てこない。

★国連経済社会局は「国際移民の正式な法的定義はないが、多くの専門家は移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなしている。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで、区別するのが一般的」としている。17年末時点の在留外国人数は約256万人。OECD経済協力開発機構)の15年の外国人移住者統計で、日本の外国人の数は前年比約5万5000人増の約39万人。韓国を抜き、ドイツ、米国、英国に次ぎ4位になった。既に移民大国と言っていい。

★人口減少と少子高齢化での労働力不足は深刻だ。観光客以外で1年以上住んでいれば移民なのだが、日本政府はそれを認めない。外国人労働者に頼らなければ、もはや日本経済は回らない。現在日本で働く外国人のほとんどが、「外国人技能実習生」や週28時間までアルバイトが認められる「留学生」という制度を利用しての出稼ぎだ。管理できなくなるのは時間の問題だ。

★同じ日、読売新聞の1面には、自衛官の定年延長が固まったという記事が出た。自衛官は過酷な任務を伴う特別職国家公務員で、60歳定年の一般職とは別体系の「若年定年制」を強いているが、延長される。これも人手不足の余波だろう。だが、この2つのニュースを並べて見ていると、その先には外国人の自衛官受け入れや若年層の自衛官の義務化、つまり徴兵のために必要な外国人労働力の活用という言葉が透けて見える。移民問題の議論を避けてきたツケは、若者が払うことになるのだろうか。(K)※敬称略