(政界地獄耳)総裁選「どこが善戦なんだ」麻生の見識 - 日刊スポーツ(2018年9月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809240000213.html
http://archive.today/2018.09.24-011530/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809240000213.html

★首相経験もあるものの、その内閣で野党に転落した“下野首相”でもある副総理兼財務相麻生太郎自民党総裁選挙で「善戦」の評価があがる元幹事長・石破茂に対して12年の総裁選での決選投票と比べ、国会議員の数が増えたものの石破の議員票が減ったことを指して「どこが善戦なんだ」と指摘した。確かに表層的には首相・安倍晋三は圧勝だが、それでよく財務相が務まる。

★総裁選の数字を詳しく読み込めば、麻生の言う「どこが善戦なんだ」はむしろ首相に当てはまるといえる。議員7対3、党員55対45の差、そして党員数104万人に対して党員の投票数64万。首相の絶対得票率は3割台前半。これで党員や国民の支持を得たなどと胸を張る安倍陣営のざっくり感が、この国の経済をリードしていると思うとがっかりする。ほんの3割程度が首相の3選を決めただけなのだ。だからこそ側近議員たちは腰を低くし、謙虚にこれからの政権運営に臨まなくてはならない。つまり「勝てば官軍」だとか、「勝てば中身はどうでもいい」、「勝ちは勝ち」程度の認識でいるのならば、政権は当面維持できるだろうが、退陣時期は早まるばかりだろう。だからこそ今、「挙党一致」を言わないと来年の参院選挙で国民から決定打を打たれる可能性がある。

★ところが政権中枢で起用されるといわれる安倍選対事務総長・甘利明は「石破が総裁選挙でそこそこの票を獲得したが、次が約束されているということではない。これからの3年間で世の中や自民党内から次を託すにふさわしいと認められる能力をどれだけ発揮できるかだ」と上から目線で指摘した。すでに世の中では一定の評価が出たといわれるのがこの総裁選だが、世の中との乖離(かいり)に気付かないとは恐れ入った。甘利は自らのスキャンダルの説明もせぬまま、選挙がみそぎとして復権したかのようなふるまいだが、その甘い考えも、世の中と乖離している。(K)※敬称略