(政界地獄耳)「自民党という知恵」破壊も隠ぺい - (2018年9月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809010000245.html
http://archive.today/2018.09.01-054112/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809010000245.html

★「もう本来の自民党はなくなったんだなあ。国民の生活向上を目指し、時には大きな国民の反対も押しのけて国と社会を次のステップに引き上げる、例えば安保、例えば消費税だ。その代わり少々しゃくし定規だといわれても、中央官庁の官僚は政治の方向に向かい、きっちり推進の手助けをする」。自民党ベテラン秘書の嘆きだ。「今まで批判されながらいつか国民もわかってくれると思って貫いてきたが、今の自民党はもう別の党といっていいと思う」と続ける。

経産省内で「議事録不要」を呼び掛ける文書が配布されていたことが分かった。森友・加計学園疑惑で政府はその失敗からウミを出そうというのではなく、ブラックボックスを作るための隠蔽(いんぺい)工作の指南をしたといっていい。そういえば役所のドアに鍵をかけて外部からの侵入を拒否したのも経産省からだった。霞が関の基礎と常識は、財務省がルールブックだった時代は終わり、今では霞が関の異端児、経産省がルールをつかさどるとは、いったい誰が予想したであろう。こんな公務員にあるまじき“新公務員ルール”を率先するのも経産省しかいない。

★それを指示する官邸には既に自民党という政党の意味や伝統も存在しないのではないか。これまた経産官僚を軸とした「官邸官僚」という答弁義務すらない官邸政策親衛隊たちが「異次元」の政策を展開する。「安倍政権になってから悪化・低下・劣化が著しいがそれは官邸官僚の振り付けだからではないか」(自民党官僚経験者)。そのおごりが総裁選でも垣間見える。総裁選で戦う元幹事長・石破茂の「政策ごとの討論」要求を「同じ土俵に乗る必要はない」(官邸幹部)と一蹴したという。自民党という知恵を壊したツケも隠蔽するのだろうか。(K)※敬称略