http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000154.html
https://megalodon.jp/2018-0901-1144-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000154.html
経済産業省幹部が省内外の打ち合わせ記録を残さないよう指示していた問題で、複数の同省職員が、電子メールについても「表に出るとまずいやりとりは、破棄するか、(公文書扱いとならない)個人のフォルダに移すよう指示された」と本紙に証言した。首相官邸や政治家、他省庁とのやりとりはメールで情報共有されることも多く、こうした運用では意思形成過程が十分に検証できない恐れがある。
公文書管理の運用ルールについて同省情報システム厚生課が今年三月に作成した文書では、「電子メールは個人文書を除き公文書」とした上で、意思決定の経緯などの跡をたどって調べたり、検証したりするのに必要な公文書の保存期間を一年以上と設定している。一方で、保存期間一年未満で廃棄できる公文書として「定期的・日常的な業務連絡(ほとんどの電子メール)」とも記されている。
しかし、ある職員は三月、会議でこの文書の説明を受けた際、上司が「政治家や官邸、省庁間のやりとりはメモやメールで一切残すな」「全て口頭でやれ」と強調していたと証言。別の職員も「表に出たらまずいメールのやりとりは破棄するか、共有フォルダではなく、(公文書扱いとならない)個人フォルダに移しておくように」といった指示を受けたという。
指示が出て以降、各課内で省内外のやりとりをメールで共有することができなくなったといい、ある職員は「どうしても記録しておきたいやりとりのメールは、指示された通り、個人フォルダを作り、そのフォルダに移して保管するようになった」と語る。
新ルールの文書に記載された「ほとんどの電子メール」という文言について、同課は「メールはスケジュールなど、政策決定に関わりがないものがほとんどなので、そういうものは破棄していいという意味で書いた。重要なものは残せということだ」と説明。一方で、「メールに残すな」という指示については、「そのような指示が、幹部から現場職員に出ているなら問題だ。今後、研修会などでやりとりの記録は、これまで通り残していくよう周知していきたい」と話す。
公文書管理を所管する内閣府公文書管理課は「指示が出て、やりとりのメールさえ残さなくなっていたら、制度の趣旨を取り違えている。事実が確認できれば、経産省に改善を促したい」とする。 (望月衣塑子)