(政界地獄耳)W杯に隠れた参院集中審議 - 日刊スポーツ(2018年6月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806270000155.html
http://archive.today/2018.06.27-005636/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806270000155.html

★国会は延長されたにもかかわらず、また集中審議で野党は攻勢をかけるチャンスがあったものの不発に終わった。決してレベルの低い質問ばかりでもなく政権の矛盾や齟齬(そご)を見つけ出し指摘もしている。「それでもサッカーワールドカップ(W杯)の日本の試合が日曜深夜だったため、新聞は速報を月曜朝刊で、詳細は火曜の紙面で繰り返し伝えた。月曜日の参院集中審議のニュースが1面を飾る社はひとつもなかった。今の野党の実力なのか」とは野党幹部のひとり。
★そうこうしているうちに、野党共闘で戦っていくという「徹底抗戦」を確認しながら参院野党第1会派・国民民主党は審議日程で自民党と折り合いを付け参院予算委員会集中審議や党首討論などの日程をまとめ上げた。「すぐに自民党の術中にはまっては衆院で戦う気勢をそぐ」(立憲民主党国対関係者)と衆院の野党盟主は不快感を募らせる。国民民主党の与党すり寄りは痛々しく、第2維新の党ともいえるへつらいようだ。
★政党サバイバルなのだろう。早速立憲民主党代表・枝野幸男は「私が代表である限り、他党と政策調整をして、組織的な合併をすることはない」と合併の弊害として「片方(の政党)が圧倒的に大きくても小さい方の顔を立てる」という過去の失敗を事例に、国民民主党をけん制した。その一方で政権は「単独政権である必要はない。立憲民主党が中心になる程度の一定のボリュームを作らなければならないが、必ずしもわが党だけで過半数を取る必要はない」と連立や共闘には柔軟さを示した。
★この駆け引きのさじ加減には慎重さが必要だが、国会は政府答弁にうそ、文書改ざんがあり、司法も政権の顔色をうかがう。すでに三権分立は機能していない。国民民主党のようにフラフラする野党も出てくる。ぶれない覚悟が必要だろう。(K)※敬称略