http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/269597
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18歳以下の若年妊産婦を対象にした支援センターが、沖縄市の県助産師会母子未来センター内に近く開設される。市が内閣府の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」を活用し準備を進めるもので、県内では初の施設となる。
10代で出産したママたちが1人で問題を抱え込まないように、子育てと人生を応援する枠組みとして機能させたい。
背景にあるのは沖縄の若年出産の高さである。10代で出産する割合は復帰後一貫して高く、2014年は2・6%で全国平均の約2倍だった。
温かな家庭へのあこがれや命を奪うことへの罪悪感など母親となった理由はそれぞれ。
もちろん子どもにたっぷりの愛情を注ぎ、育児に奮闘している若いママもいる。ただ出産年齢が低いとシングルマザーとなる割合が高く、学校を中退し教育の機会を失えば経済的自立も困難になる。さらに予期せぬ妊娠は児童虐待のリスクも高める。
沖縄市に設置されるセンターは「若年妊産婦の居場所」との位置付けで、助産師、保育士、栄養士ら専門職がチームで支援にあたる。出産・育児に関する相談のほか、性教育、復学・進学や就労のための支援など生活全般に寄り添っていく計画だ。
10代の妊娠に眉をひそめる大人もいるかもしれないが、若い母親を取り巻く厳しい環境は子どもに影を落とす。母親たちの状況を理解した上で社会的サポートを強めていくことが、貧困の世代間連鎖を断つ力になる。■ ■
若年妊産婦の居場所づくりは、望まない妊娠による悲劇をなくすためにも重要である。
3年前、うるま市の団地で生後間もない赤ちゃんが置き去りにされた事件では、当時中学3年だった女生徒が保護責任者遺棄の疑いで逮捕された。自宅トイレで出産し「どうしていいか分からなかった」という。
親の庇護(ひご)なしに生きられない赤ちゃんを遺棄する行為は許されるものではない。しかし危険を覚悟で「孤立出産」したのは、周囲に相談する相手がいなかったからだろう。
若い親たちの支援などに取り組む一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」が3月に開いた設立記念シンポジウムのテーマは「10代の妊娠を考える」だった。10代の親を理解し、子育てを支援できる人を増やすことの必要性が議論されたのだ。■ ■
望まない妊娠では母子手帳ももらわず、妊婦健診にも通わないなど、行政の支援から漏れるケースが少なくない。自分から「助けて」と言えない相談者とどうつながっていくか。
民間の先駆的な団体では、電話やメールの代わりに若者になじみ深いツイッターやLINE(ライン)を活用したり、直接電話ができるアプリを運用しているところがある。
支援を確実に届けるためには相談の垣根を低くして、面談へと橋渡しをする仕組みをつくっていくことが大切だ。