<金口木舌>法政大学と沖縄 - 琉球新報(2017年10月26日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-601996.html
http://archive.is/2017.10.25-233941/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-601996.html

現在の沖縄大学は日本復帰直前、存続の危機にあった。復帰に伴う大学設置基準の制度適用を受けてのことだ。しかし、残ることができた

▼それに一役買ったのが、大学設置基準の審査に関わっていた中村哲法政大総長(当時)だった。「沖縄大学は残すべきだ」と主張した。その縁で、法政大は今も沖縄大と連携協定を結んでいる
▼関わりはまだある。復帰直後、中村総長を中心に法政大沖縄文化研究所を設立した。研究所は、国内外の沖縄研究者を結ぶ情報拠点の役割を果たしている
▼法政大が沖縄との関係を深め始めた頃、この3人は同じ法政大のキャンパスで学んでいた。翁長雄志知事、田中優子法政大現総長(沖縄文化研究所員)、菅義偉官房長官兼沖縄基地負担軽減担当相だ。今は異なる立場で沖縄の問題に取り組む
▼22日、法政大で講演した翁長氏は、田中氏と母校への思いを語った。その席で出たエピソードによると、中村元総長は来県の際は翁長家に泊まっていた。沖縄の絵を描くのが好きな中村氏が雨の中で描くのに熱中すると、後ろから傘を差してあげたのが翁長氏だった
▼超大型台風が迫る中でも上京した翁長氏は、沖縄と本土の“溝”を埋めるために母校の演壇に立った。田中総長は縁に応えた。「沖縄ともっと接触するさまざまな機会を持つ場所が必要だ。まさにこのキャンパスをその場にしたい」