<金口木舌>沖縄の保守とは - 琉球新報(2019年8月8日)

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「死の恐怖にさらされた村民が避難していいのか聞いてきても『適当に判断して』としか答えられない村長―そこに政治があるのか」。1968年11月、米空軍B52戦略爆撃機墜落事故で当時の古謝得善嘉手納村長は吐露した

▼古謝氏は続ける。「私は確かに政党人で、しかも保守系だが、なにもロボットではない。村民に背は向けられない」。沖縄自民党の立場で村民の生命を基本に思考する「沖縄の保守」を体現する言葉だろう
▼米軍基地の存在を容認してきた保守側であっても、基地から派生する事件・事故などの被害には異議を申し立ててきた。今ある基地被害は過去から地続きでつながっている
▼米軍の運用の壁に自治権が発揮できないのは、残念ながら今も変わらない。前知事の翁長雄志氏もこの壁にぶち当たった。政府、米軍と対峙(たいじ)する中、志半ばで翁長氏が急死して今日で1年になる
▼翁長氏は生前、本土との関係について「子どもの沖縄が、親の本土に近づいていっても邪険にされる。ままこ扱いされる」と語っていた。片思いだったが、本土への熱い思いは持ち続けていた。見放さないでくれ、と
▼翁長氏の提案を契機に全国知事会で採択された日米地位協定の抜本的見直しの提言は今年の会議でも、玉城デニー知事によって連携が再確認された。翁長氏が本土に問うてきたことは、今も引き継がれている。