ICAN平和賞 被爆者「感無量」ピースボート歓声「世界が目覚める機会に」 - 東京新聞(2017年10月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017100702000128.html
https://megalodon.jp/2017-1007-0947-09/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201710/CK2017100702000139.html

「感無量です」。ともに活動してきた広島、長崎の被爆者は喜びをにじませた。六日、ノーベル平和賞受賞が決まった国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)。光が当たった国内のメンバーは「核なき世界」に挑む決意を新たにする一方、唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に参加しようとしない日本政府の姿勢を疑問視する声も相次いだ。
核兵器廃絶の道が進む」。東京・高田馬場の「ピースボートセンターとうきょう」。六日午後六時すぎ、主要運営団体の一つとして参加するICANへのノーベル平和賞授与の知らせに、集まった約七十人の関係者から「おお」と大きな歓声が上がった。「世界が目覚める良い機会」「新たなスタートに」。ピースボートのスタッフや被爆者は、今後への期待と決意を口にした。
二〇〇八年から核廃絶を目指す活動を展開してきたピースボート国際部コーディネーターの渡辺里香さん(41)。一緒に朗報を待っていた被爆者らに歩み寄り、抱き合ったりして喜びをあらわに。涙を流す人もいる中、「大変うれしい。励みとなって核廃絶の道が進む」と声を弾ませた。
被爆者の三宅信雄さん(88)は満面の笑みで、報道陣に向けてピースサイン。「感無量。核兵器禁止条約が大事ということに世界が目覚める良い機会になる」と訴えた。
午後七時半すぎからの記者会見で、ピースボート共同代表の吉岡達也さん(56)は、同席した被爆者を「命を懸けて世界中で筆舌に尽くし難い体験を伝えてきた方の努力が、大きな役割を果たした」とたたえた。
ただ、核兵器禁止条約に日本は参加しておらず「核による攻撃で国民、市民を失った国は日本だけなのに…」と不満も。表情を引き締め「(平和賞は)被爆者の証言が、核の危機を解決する可能性を持っていることを思い出してくれ、というメッセージだと感じている」と訴えた。