(筆洗)リベラル勢力が「立憲民主党」を結成 - 東京新聞(2017年10月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017100302000123.html
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体は馬や鹿のようだが、頭に角を持つユニコーン=一角獣がなぜ、この世界から消えたか。アイルランドのフォークグループ、アイリッシュ・ローバーズのヒット曲「ユニコーン」(一九六八年)。その理由を歌っている。
ノアの箱舟と関係がある。ユニコーンは「大洪水」が来るというのに遊んでいて、箱舟に乗り損なってしまったというのである。かわいそうに。
ポーランドには別の言い伝えがあるそうだ。誇り高きユニコーンは乗船はしたものの、ノアの指示にまったく従わない。長い角もはた迷惑で、ついには海へと放り出されたというから、ちょっとおっかない。
安保法や憲法改正に賛成しなければ、「希望」という名の箱舟には乗せぬ。小池百合子船長の態度がよほど腹に据えかねたか。その船に背を向けて自分たちで新しい船をつくるという。民進党枝野幸男代表代行らリベラル勢力が「立憲民主党」を結成した。
政治家にとって理念、政策は大切なユニコーンの角である。当選だけを考えれば、希望の党は、魅力的。ただ、船に乗るために大切な角を捨てれば、馬、鹿と見分けがつくまい。その結党は角にこだわった意地の判断であろう。
心意気は買う。問題は総選挙という「大洪水」を生き残れるか。泳ぎ切るしかない。その勢力の「絶滅」は、国民から政治の選択肢を奪い、政治のほどよい緊張感を失わせる。