(筆洗) 政治家の資質 - 東京新聞(2020年2月22日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2020022202000153.html
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政治とは何か。社会学マックス・ウェーバーは名著『職業としての政治』で述べている。

<情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に…穴をくり貫(ぬ)いていく作業>

クルーズ船の検疫に関する一連の対応など、新型肺炎のニュースを見て思い起こしてきた一節である。危急の際、判断する力こそ、政治家に求められる資質であろうと再認識させられる。では、閣僚三人の判断はどうだったのだろう。十六日に首相官邸で開かれた「新型コロナウイルス感染症対策本部」の会合を公務以外の理由で欠席したという。小泉進次郎環境相森雅子法相、萩生田光一文部科学相である。
「不要不急の集まりを避けて」。対策本部の会合と同じ日に開かれていた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の記者会見で、国立感染症研究所長の脇田隆字(たかじ)座長がそう述べている。「不要不急」とは具体的に何かと問われると、「新年会、送別会」を例示していた。
新年会すら自粛したほうがいいのだろうかと驚かれた方も多いかもしれない。小泉氏が向かったのは、新年会であったという。地元の後援会の関係だったそうだ。森氏は書道展、萩生田氏は消防団関係者の叙勲祝賀会である。
どちらを不要不急と判断されていたのだろうか。判断する力はどうなのか。危機ともいえる事態は、政治家の資質を明らかにしているようにも思える。