(私説・論説室から)難し過ぎる「政治・経済」 - 東京新聞(2017年4月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017040302000122.html
http://megalodon.jp/2017-0403-1017-45/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017040302000122.html

受験生の息子が科目「政治・経済」で悪戦苦闘している。専門用語ばかりで理解できないという。情けないなと思いつつ、教科書を読むと確かに高校生には難解だ。
「金融のグローバル化世界金融危機」という節には、ヘッジファンドレバレッジという用語が並び「サブプライムローン低所得者向けの住宅ローン)などのハイリスク債券を材料に大量の高利回り証券を発行した」などと書いてある。脚注に説明があるが、ざっと読んで理解できるのは、わが論説室でも経済担当ぐらいだろう。
国際関係では「核軍縮の課題」の項目に、核拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)などの用語が並ぶ。この辺は私が苦労して記事を書いている分野だ。
次に中学の「新しい社会 公民」教科書を読んだら、すごくわかりやすい。グローバル化によって人やモノ、情報の行き来が広がったが、難民や不法移民など難問が出てきた。世界には大量の核兵器があるが、核軍縮のために被爆国・日本の役割は大きいといった内容だ。テーマを示して「自分の考えをまとめてみよう」というコーナーもある。
大学の文系に進むのなら「政治・経済」科目はとても大切だが、高校の教科書は理論的、専門的に過ぎる。中学「公民」のわかりやすさを生かしながら、大学での講義の基礎にもなる教科書が欲しい。 (山本勇二