(私説・論説室から)自民党だって… - 東京新聞(2016年5月25日)

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夏の参院選では野党四党が三十二すべての改選一人区で選挙協力し、候補者を一本化するという。事実上の一騎打ちとなる自民党には脅威だろう。自民、公明の与党が野党の選挙協力を批判していると聞き及び、一九九四年九月に取材した社会党大会を思い出した。
この約二カ月前、首相に就任した村山富市委員長率いる同党は、この党大会で「自衛隊合憲」「日米安全保障条約維持」「日の丸・君が代原発容認」に転換した。
その時点までは党として、自衛隊憲法違反の存在と位置付け、安保条約は破棄を目指す立場だった。九三年の衆院選で野に下った自民党が連立政権を組んだのは自衛隊違憲、安保破棄の政党だったのである。
自社連立も当時は「野合」との批判を受けたが、自民党が政権に復帰し、当時権勢を振るっていた小沢一郎氏に対抗するには「何でもあり」ということだろう。その後二十二年たち、自民党が政策の不一致を理由に野党の選挙協力を批判するのは何だか滑稽だ。
もちろん民進、共産両党間では基本政策や理念が全く違う。選挙協力は安保関連法廃止や立憲主義回復が目的なので、そのほかの政策にどう取り組むのかという課題は残る。

しかし、有権者民共協力への賛否を投票で示せるだけ、まだましだ。選挙を経ずに自衛隊違憲社会党との連立に踏み切った自民党よりも。 (豊田洋一)