(私説・論説室から)こども憲法川柳をよむ - 東京新聞(2018年1月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018010802000131.html
https://megalodon.jp/2018-0108-0932-52/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018010802000131.html

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」−。さいたま市の女性が詠んだ俳句が秀句に選ばれたのに、公民館の月報には掲載拒否。二〇一四年に起きた問題を契機にして、本紙は朝刊で「平和の俳句」を募ってきた。これが昨年末に終わった。
関東弁護士会連合会では日本国憲法施行七十周年にあたる昨年、「こども憲法川柳」を募り、千六十作品が集まった。力作ぞろいだ。最優秀作品は群馬県の中学三年生。

<考えろ 見るだけ聴くだけ もう終わり>

「考えろ」は、物事を考えない風潮への痛烈な批判だと思う。優秀賞の三作品は、まずやはり群馬県の中学三年生。

<軽はずみ 一字変換 戻せない>

少し変えただけでも、意味は大きく変わってしまう。何も書いてはいないけれど、仮に憲法改正と重ね合わせると、何とも深い意味を持ってくる。東京都の中学三年生は。

<政治家よ 主権は国民 忘れるな>

これはズバリ、そのもの。千葉県の高校二年生の作品は。

<男女差別 憲法あっても 残ってる>

残念な現実を憲法の理想に近づけたいものです。ところで、冒頭のさいたま市の俳句について「掲載拒否は違法」と昨年十月に判決が出た。行政が中立性というあまり、憲法アレルギーに陥っているなら、残念である。 (桐山桂一)