発言と行動が一致しない安倍 - 日刊スポーツ(2016年12月29日)


http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1758221.html
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★27日午後(日本時間28日朝)、米ハワイを訪問した首相・安倍晋三真珠湾で米オバマ大統領とともに演説を行い、日米の和解と戦後の同盟関係の意義を強調した。演説では「戦争の惨禍は2度と繰り返してはならないと誓った。戦後70年に及ぶ平和国家としての歩みに私たち日本人は静かな誇りを感じながら、この不動の方針をこれからも貫いていく」とし、「歴史にまれな深く強く結ばれた同盟国となった。明日を拓(ひら)く『希望の同盟』だ。私たちを結びつけたものは寛容の心がもたらした『和解の力』だ」と訴えた。
★鼻白むのは戦後レジームからの脱却を掲げ、米国からも歴史修正主義者と認定され続けた安倍の発言と行動があまりにも一致しないことだろう。米国に押し付けられた憲法などとはおくびにも出さず「戦後70年に及ぶ平和国家としての歩み」などと言い切る厚顔さにも閉口するが、民進党代表・蓮舫も党の仕事納めで「不戦の誓いと言いながら、なぜ憲法解釈を変えて安保法制に突き進んだのか」と疑問を呈している。
★日米の同盟の裏には、強引ともいえる沖縄への過重負担がある。日米地位協定が極めて米国に有利で、思いやり予算がいかに理不尽な予算となっているかに目をつぶり、つまり多くの国民や沖縄県民への負担の上に成り立つ「寛容の心がもたらす和解の力」などご都合主義といい顔をしたい政治家の体面でしかない。むしろそれを乗り越える議論ができてこそ同盟にふさわしい。退任するオバマ大統領とはそこまで関係を昇華したと政府は胸を張るだろうが、信頼関係が構築できたのはここ数年。中国や韓国の引き起こすわがままから生まれた日本への信頼だ。それが次期大統領に通用するのかが世界の関心だ。(K)※敬称略