(政界地獄耳) これが順調といわれる日米関係 - 日刊スポーツ(2019年4月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904300000114.html
http://archive.today/2019.04.30-011208/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904300000114.html

★日米関係が重要なことはわかる。先の大戦後の占領政策の中で、戦後の復興を遂げ、平和憲法の下、米国との緊密な連携を取ってきた経緯もわかる。冷戦構造が日本の針路を決めさせたとの指摘もあるだろう。だが冷戦だったのはNATOワルシャワ条約機構、米露関係を軸とした欧州の状況を指す。その時、アジアでは朝鮮戦争ベトナム戦争が東西の代理戦争として起こり、その2つの戦争に日本は間接的に関与、米国を支えた。

★しかし、それは既に歴史の1コマになりつつある。今では経済戦争の同盟国が国同士の信頼関係の証しになる。日米首脳会談が行われたが米トランプ大統領に言わせれば両国関係は「順調だ」そうだ。「日本は莫大(ばくだい)な量の防衛装備品の購入に合意した。米国は最高の作り手で、日本は最良の買い手だ」と述べた。これが同盟と信頼の証しだ。同時に日本の自動車企業が米国内に生産拠点をつくる投資400億ドル(約4・4兆円)も決まったという。こちらはトランプがウィスコンシン州の支援者集会で演説して発覚したもの。例のノーベル平和賞の推薦文をトランプのために首相が書いた時と似ている。トランプが暴露したのだ。やはり日本は最良の買い手以上にはなっていなかった。

★時を同じくして英国では野党・労働党のコービン党首は「(メイ)英国首相がこの米政権にへつらうことをまた選んだのは残念」。トランプが6月初旬に英国を国賓訪問する際の夕食会への出席を辞退した。コービンはトランプが「重要な国際条約をほごにし、人種差別・女性蔑視的な発言を行うような大統領」だと主張。英議会のバーカウ下院議長と野党・自民党ケーブル党首も出席を辞退したという。令和最初の国賓はこのトランプだが、日本政府や財界やメディアはそれでも、もろ手を挙げて大歓迎するのだろう。これが順調といわれる日米関係だ。(K)※敬称略