(地獄耳) トランプの一声で揺らぐ「最強の」日米同盟 - 日刊スポーツ(2019年6月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201906270000034.html
http://archive.today/2019.06.27-012705/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201906270000034.html

★米ブルームバーグの米トランプ大統領が日本との安全保障条約を破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていたという報道は極めて衝撃的だ。米国務省も日本政府も火消しに躍起だ。官房長官菅義偉は25日午後の会見で「報道にあるような日米安保見直しといった話は全くない。米大統領府からも米政府の立場と相いれないものであるとの確認を得ている」とし、米国務省も「根拠がない」と一応否定した。

★だが、トランプは16年の大統領選中に「日米安保条約は不公平」と発言。在日米軍の駐留経費の全額負担を要求し、米軍撤退もあり得るとの考えを示した。当時は大統領どころか素人の泡沫(ほうまつ)候補扱いで、さして話題にもならなかったが私的発言と銘打っている報道だけに持論を側近にぶちまけた可能性がある。トランプは先の来日中、海上自衛隊護衛艦に首相・安倍晋三と乗船後、在日米軍横須賀基地で米海軍の強襲揚陸艦に乗船、乗組員らを前に、「米日の同盟はかつてないほど強固だ」と述べた。同基地について「米海軍の艦隊と同盟国の艦隊が共に司令部を置く世界で唯一の港だ。鉄壁の日米協力関係の証しだ」と訴えた。

★発言が表に出た経緯はホワイトハウス内の確執説などが言われているが、官房長官も政府の立場で否定して見せたが、トランプの発言を否定したわけではない。我が国でも保守派も革新系も日米安全保障条約とそれに伴う協定に苦しめられているのは否定しない。ただ唐突に破棄となれば60年余りの米国の安保以外の傘の下で安穏としていた外交・安保、いやそもそもの国家のかたちが作れないのではないか。最強の日米同盟は国会最終日、G20直前に大きく揺らぐ。案外もろいものなのかもしれない。(K)※敬称略