<神部コーディネーターの出前授業> 群馬県伊勢崎市立広瀬小学校編 - 東京新聞(2016年12月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2016120602000167.html
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◆外国籍児童がスクラップ
「トランプの記事が気になる」「サッカー選手が好き」「記事を切ったり貼ったりが楽しい」。群馬県伊勢崎市立広瀬小学校の日本語教室。教室で待っていた五人の外国籍児童は、当初の私の不安を完全に吹き飛ばしてくれた。
半世紀ぶりという十一月の降雪があった翌日、全児童数五百七十一人中外国籍が百人を超す広瀬小に出前授業に訪れた。
南米から三人、アジアから二人の五年生は、日本語は話すが読み書きは苦手。このため、新聞紙で帽子を作り、みんなでかぶってもらった。私が帽子をかぶって踊った時は、みな声をあげて笑った。大成功だ。
授業のゴールは、A3サイズの紙に、新聞から好きな記事を切り抜き、コメントと見出しを付けること。彼らが記事をどこまで理解できるか、私の説明がどこまで分かってもらえるか分からない。だから、自らこんなふうにやるというお手本を示してから、実際に挑戦してもらった。
ジュリアさんは、イルミネーションの写真を。マリアさんはアイドルのファッションの記事。ハイ君はトランプ氏や博多陥没の記事を選び、「Newsです」と見出しを付けた。ラウラさんはサッカーの記事。カレンさんは紅葉の写真とマンガを切り抜いた。
日本語教室担当の大澤成基先生が「今日は今までしたことのない『あなたのスクラップ』を作りましたね」と、ゆっくり明瞭な言葉で授業の最後にまとめた。これくらいの速度で話さないとここでは伝わらないのだ、と感じた。
授業後、矢島祐介校長から「ジュリアさんに何が楽しかったか聞いてみました。帽子の工作が楽しそうだったのに、帽子の話はせず『切り抜きをまたやるんですか』と聞いてきた。その言葉と表情から、こういう勉強だったら積極的にやれると感じているように思った」と言われた。私も手応えを感じた。
東京新聞NIEコーディネーター、神部秀一)

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