https://www.tokyo-np.co.jp/article/226516
東京・内幸町の東京新聞で「新聞切り抜き作品コンクール」の最終審査=写真=があり、論説室からも審査に加わりました。その様子は十九日の朝刊に掲載されています。
小中高校生が関心のあるテーマに沿って新聞記事を切り抜き、新聞一ページの四倍の大きさの模造紙に貼って自分だけの新聞をつくるものです。
首都圏の計二十六校から七百九点の応募があり、テーマは核兵器禁止や若者の政治離れ、国葬の在り方など多岐にわたります。力作ぞろいで、採点に頭を悩ませました。
インターネット全盛の時代です。新聞離れも指摘される中、多くの生徒・児童たちが日々、新聞を読み、切り抜いた記事をさらに再構成して、自分の意見を書き込む。これほど新聞を丁寧に扱ってもらえて、新聞社に勤める者として感動しました。
同時に、論説室をはじめとする新聞社の仕事の意義や重みも、子どもたちから教えられた思いです。
東京新聞の社説を切り抜いた作品もありました。私たちの社説を使ってもらったからといって、甘めに採点することはありませんが、論説室として主張したいことが、しっかり伝わっていたことは、うれしく思います。
このコンクールは、子どもたちに新聞を読む習慣を身につけてもらい、読解力や文章力を伸ばしてほしい、との思いで始まりました。
新聞を読み、情報に接し続ければ、深く考えるきっかけにもなるでしょう。日ごろ関心のないことでも、新聞を広げれば新しい出会いや発見もあります。そうしたことを日々続けることで問題意識が芽生え、よりよい社会に変える原動力にもなります。
新聞を読むことで、子どもたちの考える力や共感する力が育てば、強く生き抜く力になりますし、身の回りの身近なところから、私たちの民主主義を、より強いものにしてくれるはずです。
読者に共感してもらい、切り抜きたいと思ってもらえるような社説や記事をたくさん書かねばならない。審査を通じて、そうした決意を新たにしています。 (と)