益城町の仮設、子ども支援 東京のNPOが無料の学習会 - 東京新聞(2016年12月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120502000115.html
http://megalodon.jp/2016-1205-0917-04/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120502000115.html

熊本地震で被災し、仮設住宅などで暮らす子どもたちに学習する場を提供しようと、東日本大震災の被災地で子どもの学習支援などに取り組むNPO法人「カタリバ」(東京都)が、熊本県益城(ましき)町の中学校や仮設団地の集会所で無料の学習会を開いている。講師役は大学生など若者が中心だ。震災で生活環境が変わり、ストレスを抱えがちな子どもたちがほっとできる居場所としての役割も期待されている。
十一月二十八日午後八時すぎ、町内にある県内最大規模の「テクノ仮設団地」の集会所で、学習会が「本開校」した。十人の中学生が英語の教科書や数学の参考書などを机に広げ、真剣な表情で筆記具を走らせた。設問の意味や専門用語の暗記の仕方など、疑問があればスタッフに声を掛け、活発に質問していた。
熊本地震発生後、益城町内の中学校二校は約三週間休校した。避難所に身を寄せ、勉強する場所を確保できない子どもたちのために、カタリバは授業再開後の五月中旬から学習会「ましき夢創塾」を開設。職員二人のほか、熊本市内の大学生たちが講師を務め、生徒たちの自習をサポートするようになった。
その後、仮設住宅への入居が進み、町内の全ての避難所が解消されたことから仮設団地の集会所でも学習会を始めることにした。
「子どもたちが学びを通じ、自分の成長を実感できる場にしたい」。スタッフの芳岡孝将さん(32)は、生徒たちを温かく見守る。芳岡さんは東日本大震災の被災地、宮城県女川町と岩手県大槌町でも、熊本地震が発生するまでの四年間にわたり、子どもの学習支援を続けた。
熊本では地震直後の「非常事態」の時期が終わり、仮設住宅での暮らしが日常になり始めた。そんな中、芳岡さんは子どもたちに疲れや不安が出始めていると感じる。「つらいことを話したいときに吐き出せる、近くにいるちょっと年上の先輩でありたい」
看護師を目指し、受験勉強に励む中学三年の長広桃子さん(14)は「バスで塾まで通うのはしんどい。学習会は家の近くで勉強でき、先生と学校の話もできるから楽しい」と話す。母親の千代さん(49)は「荷物が多くて勉強机も置いてあげられないことがつらかった。本当にありがたい」と喜ぶ。
カタリバは、二〇一七年度末まで学習支援活動を続ける予定だ。 (西日本新聞・国崎万智)