<学校と新聞>若者の新聞離れ 読む動機づけが大切 - 東京新聞(2016年10月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2016102502000184.html
http://megalodon.jp/2016-1025-2250-07/www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2016102502000184.html

卒業生の保護者と会食する機会がありました。高校二年生の娘を持つお母さん六人が都内の小料理屋に集まり、子どもの近況を報告し合いました。そこで、私が以前書いた、このコラムの「若者の新聞離れ」の記事を見せて、「娘さんは新聞を読んでいますか」と質問しました。
青山さんは「うちは玄関にわざと置いておくけれど、なかなか読んでくれないわ。自分がほしい情報はネットから集めているみたい」。小林さんも「見出しだけでも読むように言っているのだけれど…」と、みなさんまだまだ試行錯誤の様子だ。
一方、茶山さんからは「娘が『新聞をどうしても読みたい』と夫にお願いしてやっと取ってくれたの。今では、社会に目を向けた話題がお茶の間で増えました」とうれしい発言。
太田さんも「娘はあまり読まないのだけれど、大学生の兄が読んでいます。国語の先生になりたいと言い出してから読むようになった。新聞のスクラップもやってます」。続いて、小林さんも「うちの息子も、大学の経営学部に入ったら日経新聞を読むようになったわ」。
お二人のお話から、ただ「読め」といってもだめで、新聞を読む動機づけが大切ということがよく分かりました。
よく読んでいる子どもたちもいました。石井さんは「時間があれば読んでいるようです。特に絵や写真をよく見ているようです」。なるほど「視覚から入る」手もありますね。
橋本さんは「わが家は東京新聞です。いろいろと読み比べてみて、娘や息子が『読みたい』と言ったので…」。そう、自分で「読みたい」って言い出したら大きなチャンスですね。
橋本さんはさらに「まず息子が読んで、その後娘が読み、最後に私が読みます。その時、子どもたちが記事に印を付けて学校に行くので、印が付いた記事を私がスクラップします」というと、周囲から「それはすごい!」と感嘆の声。私も興奮して「それは素晴らしい!」と大きな声を出してしまいました。
お母さん方と話をして「若者の新聞離れ」を防ぐためのヒントをたくさんいただきました。この日の教訓は、まず大人が新聞を毎日読むことが大切。そして、その姿を子どもに見せることが必要ということでした。 (公立中学校主任教諭・穐田剛)