<学校と新聞>選挙結果報道の比較 自ら価値判断できる力を - 東京新聞(2017年11月14日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2017111402000166.html
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群馬県太田市の小中高一貫校ぐんま国際アカデミー」は、中等部の生徒(中学三年)が衆院選投開票翌日(十月二十三日)の新聞各紙の見出しや社説を読み比べる授業を行った。選挙結果の評価がそれぞれ異なることを知ることで、新聞のみならずテレビやインターネットにあふれる情報を比較しながら、自分で価値判断できる力を身に付けるのが目的だ。
同校は批判的思考力の育成が教育目標で、授業はその一環として実施。東京、朝日、毎日、読売、産経、日経と、群馬県の県紙である上毛、の計七紙を比較した。
生徒たちは三〜六人のグループに分かれ、各紙の一面と社説を読んで見出しをワークシートに転記。続いて衆院選の結果に対し、どの新聞が肯定的か、否定的か、を話し合った。
ある男子生徒は産経の社説「自公大勝 国難克服への強い支持だ」を取りあげ「相当積極的に支持しているのでは」と主張。女子生徒の一人は東京の社説「首相は謙虚に、丁寧に 安倍政権が継続」を読み「(政権の)批判をずばずば書いている。かなり否定的」と指摘した。
朝日の社説「政権継続という審判 多様な民意に目を向けよ」を読んだ別の男子生徒は「自民の力で勝ったわけじゃないと言いたいのだと思う」と感想を述べた。
授業後、金子莉紗(りさ)さん(15)は「読み比べてそれぞれの新聞のスタンスを知ることができた。どちらかの考えに偏らず、両方を取り入れて自分の考えを決めるように心掛けたい」、高橋旭光(ひかる)君(14)は「僕たちは将来いろんな選択をしないといけないので、比較して検討することはとても大事だと思った」と語った。
授業を企画した社会科の今井信一先生(30)は「生徒にはいつも、メディアの情報は書き手のフィルターを通っていることを伝えている。この子たちがこれからの人生で、情報を吟味して価値判断し、行動する第一歩になってくれればうれしい」と話した。 (上田融)