<10代が投票すべき5つの理由><5つの現場> 総集編 - 東京新聞(2016年7月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/kokusei201607/ren/CK2016070802000180.html
http://megalodon.jp/2016-0710-1129-05/www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/kokusei201607/ren/CK2016070802000180.html

◆連載「5つの理由・現場」の概要

【1】奨学金
親の収入の減少や学費の上昇などを背景に利用者が増え、何らかの形で学生の2人に1人が利用する奨学金東日本大震災で背負った家の借金返済のため、家賃2万円のアパートに住む大学生は、昼食も食べず年中無休でアルバイトを続けるが、卒業後は奨学金の返済も始まる。岩重佳治弁護士は「奨学金問題を、若い人同士がつながって声を上げるきっかけに」と願う。
【2】雇用
正規雇用が増え、不安定な雇用。NPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんは「今の若者にとっては、結婚さえ『ぜいたく』。先輩たちが普通に歩いてきた人生を送れない」と危ぶむ。40代の男性は、就職氷河期にやっと決まった会社をリストラされた。定年まで働けると思っていたが、国の助成金を利用した退職を強要するリストラビジネスに逃げ道を失った。
【3】保育
認可保育所に入所できない待機児童問題は首都圏で顕著だ。幼稚園と保育所の機能を併せ持ち、待機児童解消に期待された「認定こども園」も、国の想定の甘さから都内で認定返上が相次いだ。子を持つ母親からは「母親目線の施策を」との声が上がる。松田茂樹中京大教授は「若者が持続的に社会保障を受けるため、国民が(税で)広く負担するということに政治が向き合う時期」と話す。
【4】介護
2050年、日本の人口の約4割は高齢者となる推計。「今の若者が50代になるころ、現役世代は税金と保険料を支払うためだけに働くことになる」と結城康博淑徳大教授は警鐘を鳴らす。首都圏で介護施設が不足する懸念から、ついのすみかとして地方に移る高齢者も。地域の自主組織で60代が、1人暮らしの高齢者を見守る過疎地もあるが、都市部で「支え合い」は成り立つのか。
【5】年金
少子高齢化で、数の少ない現役世代が高齢者を支える「世代間仕送り」の年金制度に、若者からはあきらめの声が上がる。最悪の場合、国民年金の積立金が将来、なくなる可能性も。植村尚史早稲田大教授は「景気が良くなれば破綻しないというのは不誠実」と話す。支給開始年齢の引き上げも非現実ではなくなる中、高齢者の就労が推奨される。「引退が許されない社会」に懸念も。