<被災地と憲法>(下)参院半数改選 政治空白を防ぐ知恵 - 東京新聞(2016年7月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/kokusei201607/zen/CK2016070102000207.html
http://megalodon.jp/2016-0701-1115-51/www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/kokusei201607/zen/CK2016070102000207.html

憲法五四条は、衆議院解散中、緊急の必要があるときに参議院の緊急集会を求めることができると規定している。「参院が半数ずつ改選で常に半数残っているのは、非常に良くできた仕組みだ」と小口弁護士は考える。
七十年前の一九四六年七月二日、今の憲法のもととなる政府案を審議していた帝国議会で議員が「緊急勅令」を置かない理由をただしている。戦前の憲法では議会閉会中の緊急時は政府が法律に代わる勅令を天皇の名で出すことができた。
答弁で国務相の金森徳次郎は、緊急勅令は行政当局者にとっては便利だが「国民の意思をある期間有力に無視し得る制度」と説明。「便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか」の選択であるとした。これに続き衆院が解散されている場合は、参議院の緊急集会も開催できる旨の説明もしている。
緊急事態条項が必要かを考えることは、今、選挙が行われている参議院の意義を見つめ直すことにもつながっている。 (山田祐一郎)
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憲法54条2項> 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。